このブログ「Road to 千葉御三家」では、中学受験における千葉御三家(渋谷幕張中・東邦大東邦中・市川中)を目指す受験生とその親御さん、さらにはその指導に当たる先生方のための情報を発信しております。
みなさんこんにちは!
今回は、千葉御三家の中でも最も歴史が深い伝統校であり、人気も非常に「市川中学校」(通称「市川」)についてご紹介します。
(設立年は市川が1937年(昭和12年)、東邦大東邦が1952年(昭和27年)、渋幕が1983年(昭和58年)。)
「市川って、何となくしか知らないけど、具体的にはどんな学校なんだろ?」
「渋幕や東邦大東邦とはどう違うの?」
という方のために、学校の雰囲気、教育方針、進学実績まで、まるっとまとめてみましたので、ぜひ最後まで読んで見てくださいね。

Contents
市川中学校って、どこにあるの?
市川中学校は、千葉県の市川市にあります。
アクセスは、
- JR・都営新宿線「本八幡駅」からバスで約11分
- JR「市川大野駅」からバスで約11分
- JR「西船橋駅」からバスで約20分
- 京成線「鬼越駅」から徒歩で約20~25分
となっています。
駅から少し離れており、アクセスに“クセ”は若干あるものの、千葉県内はもちろん、東京や埼玉から通っている生徒さんも多数います。
僕が指導していた、市川中に進学した生徒さん曰く、「最初は遠いなって思っていたけど、何気に時間に対する意識が上がったから結果オーライ。」とのこと(笑)
市川中学校の校風は?どんな雰囲気の学校?
市川中学校は、一言で言えば、まじめだけど堅苦しくない、バランスのいい学校です。
- 勉強はしっかりやる
- でも、行事や部活も本気でやる
- ルールはあるけど、押しつけがましくない
いわゆる「自由すぎず、厳しすぎず」という校風ですね。このバランスによって、生徒が自らで成長して自立していくわけです。
生徒同士も落ち着いた子が多く、「ガツガツ競争!」というより「それぞれのペースを大事にする」というタイプが多い印象です。

市川中学校の教育の特徴は?
市川中学校の教育を「建学精神・教育方針」→「教育目標」→「具体的な教育内容」の順に見ていきましょう。
建学精神・教育方針
市川中学校の建学精神と教育方針はほぼ同じで、以下の3つが掲げられています。
(ちょっと長いですが、大事なので頑張って読んでみてください。)
【1.『独自無双の人間観』】
人はたった一度の人生を生き、そして人は似ているようでもみんな違う。そしてそれぞれに素晴らしい個性・持ち昧があり、異なった可能性を持っている。「本来人間とは”かけがえのないものだ”という価値観」が市川中学校の教育の基盤になっています。
【2.『よく見れば精神』】
「よく見ればなづな花咲く垣根かな」という松尾芭蕉の句にあるように、よくよく見れば、雑草のかすかな花にも、他の花と比べることができない独自無双の美しさがある。同様に、生徒一人ひとりに光をあてて、じっくりと「よく見る」精神が、生徒の潜在している能力を引き出し、開発し、進展していく。この「よく見れば精神」こそが市川中学校の教師たちの使命であり、教育の根幹をなしています。
【3.『第三教育』】
市川中学校では、家庭で受ける親からの教育を「第一教育」、学校での教師による教育を「第二教育」、そして自分自身による教育を「第三教育」と呼んでおり、この三つの教育は永い間併存して互いに影響しあって成就していくものであり、そしてやがては「第三教育」のみが残ることになる、と捉えています。
教師側の「よく見れば精神」の助けがある一方で、自らでこの「第三教育」自体を作り上げていく必要があります。(そしてその作り上げた「第三教育」によって自らを成長させていく。) この「第三教育」を育むことを大切にし、あくまでも主役は生徒本人であるというのが市川中学校の教育スタンスです。
この3つの建学精神・教育方針が、市川中学校の教育の「土台」となっています。
「5つの力」の修得が目標
上記の3つの建学精神・教育方針を土台とした上に、市川中学校では教育の基本方針として『リベラルアーツ教育』を据えています。
そしてそのリベラルアーツ教育を通して、生徒たちが以下の「5つの力」を修得することを目標としています。
- 「真の学力」
- 文理の広い知に立脚した「教養力」
- 論理的思考のできる「科学力」
- グローバル社会に生きる「国際力」
- 徳を実践する「人間力」
これらの「5つの力」の修得のため、具体的には以下のような教育が行われています。
具体的な教育内容(中・高)
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)
市川高等学校は2009年度からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、2024年度にも第4期のSSHに指定されています。
高校2年次には理系生徒の全員が課題研究に取り組み、その中で課題発見・実験デザイン・データ分析など数多くのことを体験します。そして研究の終盤には、研究の社会貢献についてSDGsを用いながら考え、自分の研究成果を発表します。
市川中学校に入学して3年間学んだあと、SSHに指定されている市川高等学校に進学できるのは大きなメリットだと言えます。
国際研修
市川中学校は、イギリスのパブリックスクールに大きな影響を受けて開校した学校であることもあり、国内および海外で実施する国際研修プログラムが多数あります。
ここ数年で実施してきた海外に赴くプログラムだけでも、ホームステイをしながら現地の学校に通う「ニュージーランド」(中3・高1希望者)、大学の寮滞在を基本としてより学術的な学びを体験する「英国イートン」(中3・高1希望者)、「英国ケンブリッジ」(高1・2希望者)、「米国ボストン・アマーストカレッジ」(高1・2希望者)と多岐に渡っています。
また、国内で開催する行事では、海外の学生と学ぶ「Global Studies Program」(中3・高1希望者)、「8校合同開催Double Helix」(高1・2希望者)、高大連携開催の「神田外語大学グローバルイシュー探究講座」(高1・2希望者)があります。
さらに、2025年度からはアジア探究活動として「マレーシア研修」(中2・中2希望者)、「タイ研修」(中2・3希望者)を実施予定です。「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」では、これまでに本校生徒50名以上が世界各地で学び、活躍してきました。
このように毎年改善を重ねながら、国際研修は市川中学校・高等学校の独自のプログラムへと成長を続けています。この成果もあり、進路選択においても学部レベルから海外大学進学を志望する生徒が毎年複数名おり、そのサポートもしてくれます。
市川アカデメイア
市川では、リベラルアーツ教育の一環を成す「対話型セミナー」として、「市川アカデメイア」を高校2年生で実施しています。
この市川アカデメイアでは、西洋・東洋の哲学を中心とした人文学・社会科学の古典をテキストとし、自由な対話の構築によって古典への理解と教養を深め、主体性・協調性に基づくコミュニケーション能力を磨いていきます。
同時に、対話によって他者を理解・尊重し、自己の認識と追究に努め、将来高い倫理観と冷静な判断力を有した品格・教養あるリーダーを目指します。
他にも数多くの具体的な教育が行われています。
上記以外にも、市川中学校では各種の学外コンテスト、学内学外での発表、日常的公開授業などが行われています。
こういった教育を通じ、市川中学校では常に生徒・先生が協同して学び、研究し、進歩、成長している、いわば『学びの共同体』を構成しています。
受験にばかり目を向けた”狭い意味での教育”ではなく、知的好奇心を満たしながら知性を育んでいく”広義の教育“が行われている、これが市川中学校の教育だと言えるでしょう。

大学合格実績
以上のように市川では質の高い教育が行われており、その結果も大学合格実績として明確に表れています。
東大合格者数の推移
2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2016年度 |
17名 | 31名 | 15名 | 23名 | 22名 | 14名 | 16名 | 18名 | 18名 | 13名 |
国公立大学医学部合格者数の推移
2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2016年度 |
9名 | 18名 | 24名 | 29名 | 18名 | 21名 | 20名 | 15名 | 17名 | 8名 |
海外大学合格実績
海外大学への合格実績も、直近の2025年度だけでも以下のような大学に合格者を輩出しています
- Cornell University
- University of Washington
- Northwestern University
- The University of British Colombia
- McMaster University
- Western University
- Carleton University
- Smith College
- Middlebury College
- Wesleyan University
- Grinnell College
- The University of Sydney
- The University of New South Wales
幅広い合格実績とそれを作る空気感
以上は合格実績の一部ですが、市川中学校の大学合格実績の全体感としては、
- 東大・京大・国公立大医学部なども毎年コンスタントに輩出
- 早慶・上智・理科大など私立上位校にも多数合格
- 海外大学への進学も増加傾向
- 推薦入試を選ぶ生徒も増加傾向
といったものが挙げられます。
こういった幅広い合格実績・進路選択の土台となっているのが、市川中学校・高等学校の詰め込み型ではなく“自分で進路を切り開く”という空気感であり、これも市川の大きな特徴であり魅力だと言えます。

行事・部活動も本気!
以上のような教育の素晴らしさが市川中学校の大きな魅力のひとつですが、市川中の魅力としては他にも「学ぶこと以外にも”熱中できること”がしっかりある」ということが挙げらます。
- 部活動も種類豊富で、運動部も文化部も活発
- 体育祭・文化祭などの行事は、企画・運営も生徒が中心
- 特に吹奏楽部・科学部・演劇部あたりは実績も◎
勉学を大切にしながらも、「中・高6年間を“受験のためだけ”で終わらせたくない」というお子さん・ご家庭にはとてもフィットする学校と言えます。
市川中に向いているのはこんな子!
以上を踏まえると、市川中学校に向いているのは、
- 勉学を大切にしながらも、学校生活全体をしっかり楽しみたい子
- 自分のペースでじっくり取り組むタイプ
- 「競争より共存」タイプの性格の子
- 進学実績も大事だけど、人間としての成長も大事にしたい子
といった考えで志望校・進学校を選んでいる子かと思います。
おわりに:市川中は“堅実でバランスの取れたちょうど良さ”が詰まった学校!
渋幕が“超ハイレベルな自由”、東邦が“理系志向の自立型”だとすると、市川中はまさに“安心と実力のバランス型”と言えます。
- しっかり学んで知性を育んでほしい
- でも、学び以外の時間も大切にしてほしい
- そして、中高6年間を「有意義な時間」にしてほしい
そんなご家庭にとって、市川中はとても心強い選択肢になるはずです。
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少し長くなりましたが、読んで下さってありがとうございました!
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ではでは今回はこのあたりで。ありがとうございました!