このブログ「Road to 千葉御三家」では、中学受験における千葉御三家(渋谷幕張中・東邦大東邦中・市川中)を目指す受験生とその親御さん、さらにはその指導に当たる先生方のための情報を発信しております。
みなさんこんにちは!
今回は、中学受験における千葉御三家の1つである「東邦大学付属東邦中学校」(通称「東邦大東邦」)について、どんな学校かを見ていきましょう!
「理系に強いって聞くけどホント?」
「うちの子に合う学校なのかな?」
なんて思っている受験生・親御さんのために、東邦大東邦の特徴、雰囲気(校風)、教育方針、進学実績などをやさしく解説していきます。
ぜひ最後まで読んで見てくださいね。

Contents
東邦大東邦って、どこにあるの?
東邦大東邦中学校は、千葉県習志野市にあります。
最寄り駅は京成本線の「京成大久保駅」で、徒歩で約10分ほどのところに東邦大東邦はあります。駅からは商店街を通って通学します。
また、JR総武線の「津田沼駅」で降りて、そこから京成バスで通学する生徒さんも非常に多いです。JR津田沼駅からはバスで約15分ほどですね。バスは頻繁に来るので、バス待ちで困ることは基本ありません。
JRや京成線で通えるため、千葉県だけでなく都内や埼玉県から通っている生徒さんも少なくありません。
ちなみに、東邦大東邦中の周りには東邦大学や日本大学(生産工学部)などがあり、周辺は「学生の多いエリア」となっています。
校風は?生徒の雰囲気は?
校風①:「節度のある自由」
東邦大東邦の校風は一言で言えば「自由」と言えるでしょう。とはいえ「放置」や「無責任」という意味での自由ではなく、「節度のある自由」です。さらに別の言葉で言い換えるなら、「自らの行動に責任を持った上での自由」と言えます。
東邦大東邦には、そういった意味での「節度のある自由」を持った子たちが多数入学しているため、穏やかで素直、でも考え方が大人な子が多いです。先生たちに依存するのではなく、自分たちで切磋琢磨しながら学び、進んでいける子たちの集まりと言えます。
校風②:部活動や行事が盛ん
自由(=節度のある自由)が校風である東邦大東邦は、部活動や行事といった勉学以外の活動も大変盛んです。部活動の中には関東大会とか全国大会に出場経験のある部活も数多くあります。
ちょっと風変わりな部活動もあるので、いくつか紹介しますね。
科学部・エレクトロニクス班(中・高)
「科学部・エレクトロニクス班」は、千葉市で毎年12月に開催される「火星ローバーコンテスト」に出場し、その大会での優勝を目指してローバーの作成に取り組んでいます。1年時には主に工作キットを用いて作成を行い、上級生になると作成に利用する材料を選定し、動かすためのプログラムを作成したりもします。
【過去の大会実績】
・第21回火星ローバーコンテストin千葉 千葉市科学館賞
・第23回火星ローバーコンテストin千葉 優勝
地形模型部
「地形模型部」では、週4回の活動で、地形図から山や島を作り上げていきます。地味だけど、真面目にマニアックに活動しています。
釣り同好会(高)
年に数回、近隣の施設で釣りを楽しむ「釣り同好会」があります。
ハンドボール部(中・高)★強豪
東邦大東邦のハンドボール部は、これまでに千葉県優勝や関東大会4位、全国大会出場、国体準優勝などの実績を誇る強豪です。伝統のある部でもあり、OB・OGとの交流が深いのも魅力です。
校風③:主体的だけど落ち着いた生徒たち
以上のように、「節度のある自由」があり、勉学だけでなくそれ以外の活動にも積極的な東邦大東邦の生徒たちは、主体的だけど真面目で穏やかで落ち着いた生徒さんたちが集まっています。
文化祭や体育祭では生徒たちが主体的に盛り上げ、のびのびと過ごしています。落ち着いた空気感の中で自分のペースを大切にしながら学校生活を過ごしたい子に、とてもピッタリの学校と言えるでしょう。

東邦大東邦中の建学理念・教育理念
さて、ここまで見てきたような校風を持つ東邦大東邦ですが、その「建学理念」と「教育理念」を知ることで、より解像度を高く知ることができます。少し難しく感じるかもしれませんが、しっかり見ていきましょう。
建学理念
ではまずは「建学理念」から見てみましょう。
東邦大東邦中が創立されたのは今から73年前の1952年です。医師であり医学博士でもある額田豊・額田晋兄弟によって創立されました。
この二人が創立にあたって建学理念として掲げたのが「自然・生命・人間」の尊重です。
【東邦大東邦中の建学理念】
「自然・生命・人間」の尊重
教育理念(教育信条)
また、創立者である額田豊・額田晋の以下の言葉が教育理念となっています。
【東邦大東邦中の教育理念】
「我々は全宇宙を支配する無形の偉大な力に黙祷をささげて人間の心の向上を誓おう」
「建学理念」・「教育理念」の解釈
とはいえ、上記の「建学理念」と「教育理念」を見ても少し難しく、しっくりこない方も多いですよね。そこで、現校長の松本先生は受験生・親御さんが理解しやすいように「建学理念」と「教育理念」を以下のように噛み砕いて説明してくださっています。
「以上のような『建学理念』や『教育信条』が何を意味しているのかというと、我々人間というのは科学技術が発達をしたり物質文明が発達したりすることによってどうしても驕りがちになってしまう。
そういった驕りがちになった人間に対して謙虚であれということを求めているものだと思います。」
学ぶことも同様で、人は学びを進めていき、知識や思考力・論理性が身について行くと、それを基に「驕ること」もどんどん可能になっていくわけです。でも、東邦大東邦としてはそうならないために「謙虚な姿勢を持ちながら学んでいくこと」というのを教育の芯に据えています。
この「謙虚さ」・「驕らない精神性」を育てるという方針が、いわゆる「受験に偏った勉強」ではなく、「知性を育みながら社会のために学ぶ」という学校の風土にも繋がっています。
その結果として、東邦大東邦を卒業した生徒たちは、医師や薬剤師をはじめとする「社会貢献を果たすような職業」を目指して学び、そして実際にそういった職に就く子が多いわけです。

東邦大東邦の「教育」
では、東邦大東邦では、具体的にはどういった教育が行われているのでしょう?東邦大東邦の教育の特色としては、4つほど挙げられます。
完全中高一貫化によるカリキュラム変更
東邦大東邦は平成29年度以降、高校からの募集を停止し、完全中高一貫校になりました。
そしてそれに伴い、教育カリキュラムも従来のものから一新されました。
具体的にはどう一新されたのかというと、大学入試が2020年度以降大きく変わり「考える力」・「表現する力」が強く求められるようになったことに対応し、従来の「答えありきの教育」から「考える力」・「表現する力」を6年間かけて育むようなカリキュラムへと大きく変更されました。
リベラルアーツ型カリキュラム
また、「大学受験」というある種の狭い視野で留まらず、より広範な視野を持って「世界(社会)」を意識した学びができるよう、リベラルアーツ型のカリキュラムが東邦大東邦では採用されています。
グローバル化が進む現代社会においては、経済だけではなく様々な問題が山積みになっています。それらの問題に対応するためには人間的な総合力というのが求められており、その人間的な総合力を構成する中に幅広い知識・教養があります。
この「幅広い知識・教養」を体得するためには、リベラルアーツ型のカリキュラムが最適であるという考えから、幅広く様々な教科を学ぼうというリベラルアーツ型のカリキュラムを採用しています。
”能動的学習”の重視
東邦大東邦が特に大切にしているのは、「自分で考えて、自分で行動できる力」です。
そこで、授業で先生から習ったことを単に受け身で詰め込むのでなく、自分たちで調べたり話し合ったり、考えを発表し合ったりといった“能動的な学び”が非常に重視されています。
こういった”能動的な学び”を中高一貫の6年間で丁寧に積み重ねることで、「社会に出てからも活きる力」を育む教育を行っています。
学問体験講座-大学附属校としての強み
東邦大東邦はその名の通り、「東邦大学」の付属校です。そこで、大学の付属校としての強みを活かした「学問体験講座」が開催されています。
具体的には、東邦大学の薬学部や理学部、あるいは附属病院にいき、その施設を使って最先端の科学に触れるような実験を行ったり、外科医の実習を行ったりします。
これは、千葉御三家の外の2校にはない大きな強みと言えるでしょう。
大学合格実績-”理系に強い”東邦は健在
東邦大東邦は昔から「理系に強い」「医学部を目指すなら東邦大東邦」と言われていますが、その傾向は今もなお健在です。
以上のような教育が東邦大東邦では行われていますが、市川では質の高い教育が行われており、その結果も大学合格実績として明確に表れています。
東大合格者数の推移(過去5年間)
東邦大東邦の過去5年間の東京大学合格者数は以下のようになっています。
年度 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 |
合格者数 | 4名 | 10名 | 5名 | 0名 | 3名 |
医学部医学科合格者数の推移(過去5年間)
東邦大東邦の過去5年間の医学部医学科の合格者数は以下のようになっています。
年度 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 |
国公立大 合格者数 | 12名 | 19名 | 13名 | 18名 | 20名 |
私立大 合格者数 | 59名 | 111名 | 65名 | 85名 | 76名 |
合計 | 71名 | 130名 | 78名 | 103名 | 96名 |
1学年の生徒数は約300名なので、たとえば2024年度は学年の半数弱が医学部に合格している計算になります。「医者になるなら東邦大東邦」は今もなお健在であることは明らかでしょう。
東京理科大学合格者数の推移(過去5年間)
また、理系に強いことの指標の一つとして、過去5年間の東京理科大学の合格者数を見てみると、以下のようになっています。
年度 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 |
合格者数 | 172名 | 171名 | 131名 | 163名 | 123名 |
先述の通り1学年の生徒数が約300名であることを踏まえると、60%弱の生徒が東京理科大に合格している計算になります。やはり東邦大東邦は「理系に強い」と言えるでしょう。

東邦大東邦はどんな子に向いている?
以上を踏まえると、東邦大東邦中学校に向いているのは、
- 理系科目が大好き
- 医学部や理系学部への進学に興味がある
- 好奇心旺盛で「なぜ?どうして?」を考えるのが好き
- 穏やかな環境の自分のペースを大切にして学びたい
- 節度のある自由をもった6年間を過ごしたい
といったことに共感できる受験生・ご家庭と言えるでしょう。
受験生・親御さんへのアドバイス
東邦大東邦の現在の校長である松本先生は、YouTubeのインタビューの中で「受験生・親御さんへのアドバイス」として以下のようにコメントしています。(文章にしても理解しやすいように少し整えています。)
受験勉強をしているご家庭には、ぜひ「学ぶ楽しさ」というのを味あわせてもらいたいと思います。あるいはお子様と一緒に「学ぶ楽しさ」を味わっていただければと思います
学ぶ楽しさを味わうためには、ひとつ重要なポイントがあります。成績(≒模試の結果など)が出れば一喜一憂しがちですし、答えを求めなきゃいけないような時には答えをすぐに出そうと早急に答えを求めようとする傾向があります。
でも、その答えに至るまでの「過程」、努力する「過程」を重視していただくと、学ぶ楽しさ・喜びというのを感じることができるものだと思います。
そしてそういうことを経験すれば、これは中学校・高校での学びに繋がっていくのではないかなというふうに考えています
ぜひそういったこと心がけて頂ければと思います。
このコメントは、受験勉強をする上での大きな指針になりますよね。算数や理科といった理系科目に特に効いてくる指針かと思います。ぜひ強く心がけて、日々の学びに盛り込んでいきましょう。
おわりに。
渋幕が“超ハイレベルな自由”、市川中が”安心と実力のバランス型”だとすると、東邦大東邦は“理系志向の自立型”と言えます。
そして東邦大東邦は、派手さよりも“確かな実力”を大切にしている学校です。一人ひとりの学びを尊重し、しっかりと自立を促してくれる—そんな環境が整っています。
理系に進みたい人だけでなく、「落ち着いた雰囲気でじっくり学びたい」というお子さんにも、ぴったりの選択肢になるはずです。
気になった方は、ぜひ学校説明会や文化祭に足を運んで、実際の空気を感じてみてくださいね!
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少し長くなりましたが、読んで下さってありがとうございました!
このブログでは、東邦大東邦をはじめとした「千葉御三家」を目指す受験生・親御さん(+その指導を行う先生)に向けた情報を発信していますので、また読んで見たいなと少しでも思えたら、ぜひブックマークなどしてみて下さいね。
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ではでは今回はこのあたりで。ありがとうございました!